「子どもの英語教育を何歳から始めるのか?」という議論は昔から行われていますが、最新の研究によって多くの脳科学者のなかでは子どもが英語学習を始めるべき年齢が定まりつつあります。
子どもは脳が大きく発達する時期で、脳科学に基づく勉強は非常に効果がありますが、脳科学ではどのような英語学習をするべきなのか分からないという方も多いでしょう。
そこで本記事では、脳科学的に英語を始めるべき年齢、正しい学習方法、脳科学者の見解について詳しく解説します。
脳科学的に子どもは何歳から英語を始めるべき?
①脳科学的には6歳までに英語学習を始めるのが理想とされている
人間の脳は6歳までに90%〜95%が完成すると言われているため、英語学習においても脳が成長を続ける6歳までに始めてくと効果的だと脳科学でも言われています。
また、5歳までに脳の80%が完成することから、5歳までに英語教育を始めるべきという脳科学者もいますので、5歳〜6歳までが英語学習を始めるひとつの目安とするといいでしょう。
とはいえ、人間の脳は一生成長するという研究結果も出ており、6歳を超えた小学生や中学生、高校生から英語を始めても言語習得することは可能という見解も脳科学的には一般的ですので、かならずしも5歳〜6歳までに英語学習を始めないと効果がないというわけではありません。
(参照:厚生労働省「脳の神経細胞の成長と変化」)
②6歳までの英語学習はドーパミンの相乗を効果を得られる
6歳までの子どもの脳からは、嬉しいときや楽しいときに多くのドーパミンが分泌されることが知られています。
英語学習においては、以下のようなサイクルで高い学習効果を得ることができます。
- 英語を勉強する
- 先生や両親に褒められる
- 嬉しい感情と同時にドーパミンが分泌される
- また英語を勉強して褒められたいと思う
ドーパミンが多く分泌されることによって、褒められたときにより快楽を感じやすいことから、子どもは「英語が楽しい」「もっと英語を勉強したい」と思うようになるのです。
脳科学的に正しい英語の学習方法
ここでは、脳科学的に正しい英語の学習方法について紹介します。
①フレーズの繰り返し学習が肝心
東京大学の言語学の専門家である酒井邦嘉教授は「人間の脳は複数の言語に対応できるように作られており、子どもの脳は柔らかいため複数言語を習得しやすい」と述べたうえで、日本人の英語学習にとって効率的なのは「身に付くまでひたすら反復学習する」ことだと話します。
これは、人間の脳が繰り返された情報を”重要なもの”と判断することに基づいた考え方です。
②リスニングは分かるフレーズを繰り返し聞く
先ほどもお伝えしたとおり、英語学習においては身に付くまで反復学習することが重要ですが、日本人が苦手とするリスニングについては、意味の分かるフレーズを繰り返し聞くことが重要となります。
フレーズの単語の意味が聞き取れなかったり、意味が理解できないと、人間の脳は”情報”として理解できないため、知っているフレーズを繰り返し聞かないと意味のない勉強になってしまうのです。
そのため、子どもの英語学習においても毎日違った英語のCDを聞いたり、英語のYouTube動画を見るのではなく、子どもが理解できる単語や短いフレーズを毎日聞くことが大切になります。
③単語や文法よりもフレーズや音声を中心に勉強するべき
日本人は単語や文法を中心に勉強する方も多いですが、フレーズを覚えたり、声を出して英語を読み上げる、音声で英語を聴くなど、より多くの情報量を得る勉強のほうが脳への定着は早いと東京大学の酒井邦嘉教授はいいます。
特に子どもは英語の全体を掴んでから単語や文法を覚えていくことが分かっているため、子どもに英単語や文法を学ばせるのは効果的ではありません。
(参照:東京大学「脳科学的に正しい英語学習法」)
有名脳科学者の英語学習に対する見解
ここでは、英語学習に言及している有名脳科学者の見解を紹介します。
①茂木健一郎さんの英語学習についての見解
茂木健一郎さんは、2018年に「5歳までにやっておきたい 英語が得意な脳の育て方」という著書を発売し、子どもの英語教育について以下のように触れています。
”子供の英語教育は早い段階から始めておいて損はありません。小学校の授業ではじめて英語教育を受ける子供と、幼い頃から英語に親しんでいる子供の英語力は将来的に大きく変わるからです。”(引用:茂木健一郎「5歳までにやっておきたい 英語が得意な脳の育て方」)
現在は小学校のカリキュラムに英語学習が組み込まれていますが、小学校入学前から英語学習することで、将来的に英語力に差が出るという見解を示しています。
②瀧靖之さんの英語学習についての見解
東北大学脳科学センターに在籍する瀧靖之さんは、ニュースサイト「AERAdot.」にて行われた茂木健一郎さんとの対談で以下のように発言しています。
”日本人が英語を学ぼうとすると、まず日本語で理解しようとするけれど、それでは英語を理解することはできないため、トライアンドエラーを繰り返して固定されたシナプスを最適化する必要があります。この脳の変化を「可塑性」といいますが、子どもは可塑性が大きく、可塑性は加齢とともに下がっていくため、英語は幼少期から始めるのがいい。”
(参照:「AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2020」)
脳科学的と英語学習に関するよくある質問
脳科学的と英語学習に関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Q1.「脳科学的に正しい英語学習法」の本はどんな内容ですか?
「脳科学的に正しい英語学習法」という書籍は、アメリカでMRI研究に携わり、1万人以上の脳画像を解析した医師である加藤俊徳博士が英語学習のための脳の使い方について書いた本です。
大人の英語学習向けの内容ですが、8つに分類される脳の部分をそれぞれリスニングやスピーキングなどにどのように使うかが書かれているため、子どもの英語学習にも役立つ部分は多いです。
Q2.5歳〜6歳までの子どもにはどんな英語の勉強がおすすめですか?
5歳〜6歳までの子どもの英語学習は、とにかく子どもが楽しめる以下のようなプログラムがおすすめです。
- 親子で一緒に英語の歌を歌う
- 英語の曲に合わせてダンスする
- 英語の絵本を読む
- 英語のYouTubeを視聴する
- 英語のアニメを視聴する
このように、子どもが楽しめることを第一に、5感を使えるプログラムを選ぶと効果的です。
Q3.幼少期の英語学習はネイティブ講師を選ぶべきですか?
幼少期は英語の自然な発音が身に付きやすいため、ネイティブ講師を選ぶことがおすすめです。
まとめ|脳科学的には5歳から6歳までの英語学習がおすすめ!
本記事では、脳科学的に英語を始めるべき年齢、正しい学習方法、脳科学者の見解について詳しく解説しました。
脳科学的には5歳〜6歳までの英語学習が効果的だとされていますので、将来的に子どもに英語を身に付けて欲しいという親御さんは、なるべく早く英語学習を始めることがおすすめです。
自宅でもYouTubeや子ども向け教材での学習はできますが、時間を取るのが難しかったり、効果的な英語学習が難しい場合もありますので、子ども向けのオンライン英会話教室や英会話スクールも検討するといいでしょう。
ぜひ本記事を参考にして、子どもの英語教育を効果的に行ってみてください。